笑顔の裏側に

そうして私はベットに寝かされた。

「ちょっと待っててな。今治療するから。」

そう言うお父さんはまさに医者の表情だった。

ぼんやりしていると湿布や薬などが入った救急箱を持ってお父さんが帰って来た。

「優美、とりあえず起きて服まくれるか?」

ベットのへりを掴んでゆっくりと起き上がり、腕をまくった。

お父さんも痣だらけの腕に絶句だった。

「ごめんな。俺がもっと早く帰って来ていれば…」

「ううん…。」

お父さんは黙って私の腕に湿布を貼っていく。

「腕だけか?」

「うん…。」

たぶんあの目は余計なことは言うなっていうお母さんからの合図だから。

だから私からは何も言わない。

「まだ痛かったら、ここに置いておくから自分で貼れよ。」

「うん…。ありがとう。」

「お母さんのことは気にしなくていいから。後、明日は学校、休みなさい。お父さんの方から連絡しておくから。」

そう言うとお父さんは部屋を出て行こうと背を向けた。

「お父さん!」

最後まで言おうか迷っていた。

でもどんなに暴力を振られても、私はお母さんのことが好きだから。

お母さんに愛されたいから。