笑顔の裏側に

「まあいいわ。あなた、こんなとこまで彼女がノコノコと着いてくるなんて、どういう神経してるの?悠くんの迷惑は考えないわけ?」

やっぱり本題は悠のことか。

随分と嫌味ったらしく言ってくれるなと思いながらも私も黙ってはいない。

部外者にそこまで言われる筋合いはないもの。

「お言葉ですけど、悠の提案なんですよ。ご心配、ありがとうございます。ですが2人で決めたことですので。」

私も嫌味を込めて返せば、若干先輩の顔が引きつった気がした。

だけどまるでたった今思い出したように、わざとらしく手を叩き、不気味な笑顔を向けてくる。

「そういえば、悠くん、こないだぼやいてたわよ。本当は土日も働きたいのに、あなたがいるからシフト入れらないって。」

その言葉に今度は私が固まる番だった。

土日もシフトを入れたいってどういうこと?

新人が決まるまでのつなぎのはずなのに。

カフェのバイトが楽しくなったからということなのだろうか。

「私ならそんな想いさせない。悠くんを想うなら、早く別れて。」

黙ってしまった私に吐き捨てるように言われた。

私だって悠のことを大切に思ってる。

だけどそれだけは譲れないから。

私の横を通り過ぎようとする越川先輩に背中合わせのままで言った。