それから2人して目が覚めてしまい、リビングに降りて、夜中のティータイムをすることにした。

紅茶と市販のクッキーをテーブルに置いて、ソファーに腰掛ける。

マグカップを両手に持ち、紅茶の香りを楽しんだ。

隣を見れば、いつしかの私があげたマグカップが握られている。

それに小さく微笑み、心が満たされていく。

「悠くん、本当に優しい子よね‥。」

カップの中身を見つめながらそう呟くお母さんに、大きく頷いた。

「あの子ね、私を説得するために、何度も病院に来てくれたのよ。私が診察や手術で長時間、席を外しているときは、ずっと受付で待っててね。私が追い返しても、懲りずに来てたわ。」

やっぱりそうだったんだ。

悠が私とお母さんをもう一度繋いでくれた。

「どうして話そうと決めてくれたの?」

「どんな顔して会えばいいのか、何を話せばいいのか分からなくて。ずっと断ってきた。でも一番の理由は優美に拒絶されるのが怖かったから。だけど悠くんに言われたの。優美がいなくなることより怖いことはないって。」

その言葉を聞いた瞬間、瞳に涙の膜がじんわりと張った。

悠はその言葉をどんな気持ちで言ったんだろう。

どんな姿の私を想像していたのだろう。