笑顔の裏側に

そして食事を再開させ、食後のコーヒーの後、悠が帰る時間になった。

すぐ近くだけど、送ってくると伝えて、一緒に外に出る。

玄関のドアを閉めた後、歩き出そうとする悠の手を掴んだ。

「今日はありがとう。悠のおかげでお母さんとちゃんと話せた。本当にありがとう。」

「いや‥。よく頑張ったな。」

そう言って頭を撫でてくれる。

思わず悠に抱きついた。

よろけながらもしっかりと抱きとめてくれる。

「今日は実家に帰るの?それとも‥

「実家だよ。前から今日は帰るかもって伝えてあったんだ。だから安心して、家族で過ごして来い。」

まるで私が気にしていることをして分かっているような口振りだ。

だけど実家に帰るならとホッと胸を撫で下ろす。

「明日、また連絡する。マンションには一緒に帰ろうな。」

その言葉に大きく頷いた。

それから門まで一緒に行こうとすると、そこでいいと断られた。

あんまり遅いと心配するだろうからと言って、歩き出してしまう。

私はその背中を見送って、家に戻った。