笑顔の裏側に

「私‥何も‥知らなくて‥お母さんだって‥苦しんでたのに‥気づけなくて‥ごめんね‥」

「そんなの‥あなたが気にすることじゃない‥」

瞳を悲しげに伏せる様子に胸が痛んだ。

「でも‥」

咄嗟に言葉を紡ごうと口を開いたけど、言葉は続かなかった。

「本当にいいの。」

そして今度は頭を撫でられる。

「いつの間にか、こんなに大きくなったのね‥。」

その言葉に思わず抱きつくように胸に飛び込んだ。

背中に腕を回せば、私の腕の中にすっぽりと入る。

お母さんが小さく思えるくらい、私は本当に成長したんだと思う。

あんなに強くて手の届かなかった存在だったのに、今ではこんなにも儚く感じられる。

「お母さん‥」

「優美‥」

ただお互いに名前を呼び合い、今までの空白の時間を埋めるように心を通わせていた。