笑顔の裏側に

今思い出しただけでも、大切にされていたことが、愛されていたことがこんなにも実感できるのに。

お母さんの本当の気持ちにだって気づいて確かめるチャンスはいくらでもあったのに。

そうしなかったのは、私自身が愛されていないと決めつけて、全てを否定的にしか見ることができなかったからだ。

ずっと傷つくことから逃げていた。

もしかしてと期待すれば、本当のことを知ったとき傷つくかもしれない。

そう思って今まで本心から目を逸らし、向き合おうとしてこなかった。

そのことが長年にわたってここまで大きなすれ違いを生じさせてしまった。

それに気づいたとき、私は泣き濡れていた。

ほろほろと静かに涙が流れていく。

それを拭うこともせずにただ一点を見つめていた。

「優美‥まさかそんな風に思ってたなんて知らなかった‥。傷つけてばかりでごめんね‥。上手に愛してあげられなくて‥ごめんね‥。」

お母さんは私の前にしゃがみ込み、手のひらでそっと涙を拭ってくれる。

その手のひらはとても温かくて優しかった。

そんなお母さんも泣いていた。

「お母さん‥」

小さく呼べば私を見てくれる。

それだけで嬉しくて。