笑顔の裏側に

「T大の入学書類を渡した日。あの日お母さんはマンションの部屋と引き換えに私を捨てたんでしょ?」

「それは誤解よ!あなたをこれ以上傷つけないためには離れるのが一番だと思ったの!」

そんなのってない。

だってこれも私の勘違いで。

私を想ってのことだったなんて。

「じゃあ何でT大に受かったとき、そのことについては何も言ってくれなかったの?お母さんがあれだけ望んでたんじゃない!」

何でもいいから、私の勘違いを少しでも否定してくれるような材料が欲しかった。

あんなに愛されたかったはずなのに。

いざ本当は愛されていたなんて知らされて、受け留め切れるはずもなかった。

「何て言葉をかけてたらいいか分からなかったのよ。あなたをT大に合格させたかったのだって、自分のためだもの。お義母さんの嫌がらせから自分を守るため。そんな自分勝手な理由であなたにT大の合格を強要してきた。それなのに、私に合格おめでとうなんて言う資格はないと思った。だから‥」

「そんな‥だって‥‥嫌よ‥そんなの絶対嫌‥」

まるで誰かに声を操られているかのような感覚だった。

ただひたすら同じような言葉をうわ言のように呟き、そのまま崩れ落ちるように床に座り込む。