笑顔の裏側に

「もしもあなたの母親が私じゃなかったら、きっとあなたは‥幸せだった‥。こんなに辛い‥思いも‥させなくて済んだのに‥。」

お母さんが泣きながら言葉を紡いでいく。

だけど私はそれを受け留められなかった。

理解したくなかった。

それじゃあ、まるで私はちゃんと愛されていたということになる。

全部私の勘違いだったってことになってしまう。

「嘘言わないでよ!そんなの信じられるわけないじゃない!」

立ち上がって泣き叫ぶ。

まるでどんな言葉も受け付けないとでもいうように。

悠が咄嗟に伸ばした手も振り払った。

その拍子に腕がぶつかって椅子が倒れる。

「信じなくてくれなくてもいい。だけどこれだけは伝えておくわ。私はあなたを昔も今も大切に思ってる。ずっと愛してるの。」

その言葉に尖った心が萎んでいく。

どんなに頑なに信じたくないと思っても、心は素直にその言葉に手を伸ばしてしまう。

正反対の心が私の中で揺れ動く。

「ならどうして‥どうして私を捨てたの?」

「何を言ってるの?」

まるで何を言われているのか分からないといった表情だった。

その様子に心がますます騒ついた。