笑顔の裏側に

私が落ち着いた頃を見計らって、お母さんが再び話し始めた。

「精神的に不安定になって勢い余ってつい、あんな言葉を言ってしまったの。確かにあなたがいなかったらと考えたことは何度かある。だけどそれは筋違いだってことはちゃんと分かってた。でも、それと同時に自分への制裁の言葉でもあったの。」

意味が分からず、頭が混乱してくる。

まるで理解することを拒否しているようだった。

「あなたが中学受験に失敗した頃から嫌がらせはヒートアップした。それに伴って私もあなたに厳しくなり、暴力や暴言も増した。」

「じゃあ全ては私が受験に失敗したせいってこと?」

思わず口を挟んでしまった。

落ち着いた感情が再び高揚してしまう。

それを抑えるようにグッと拳を握った。

手のひらに爪が食い込み、その痛みが私を諌める。

だけどそれはすぐに解かれて、優しい温もりに包まれる。

目を向ければ、悠が私の手をしっかり握っていた。

チラッと横を見れば、お母さんを見つめている。

「そうじゃない。あなたが責任を感じる必要はないわ。ただあなたは私に似て不器用だった。頑張っても頑張っても空回りすることが多くて。昔の私を見ているみたいで、もどかしかった。だから余計にあなたに当たってしまった。」

そこまで言うと、お母さんは何かを堪えるような表情になった。

はやる気持ちを抑えて、お母さんの次の言葉を待つ。

でもなかなか言い出さないお母さんにまたしても私は質問を重ねた。

「自分への制裁ってどういう意味?」

するとお母さんの顔がグシャリと歪んだ。