笑顔の裏側に

「改めて二人とも来てくれてありがとう。それからこの場を作ってくれた悠くん、本当にありがとう。」

お父さんは一度、お茶を飲んだ。

そして覚悟を決めたように、大きく息を吸って再び話し始めた。

「これからの話は優美にとって辛いことを思い出させることになってしまう。それでも今の優美の状態を聞いて、きちんと話すべきだと思った。だからちゃんと聞いてほしい。その時にもし気になることがあれば、何でも質問してほしい。どんなことでも嘘偽りなく誠実に答えると約束する。」

その言葉を聞いて、ちゃんと向き合おうとしてくれるんだと感じる。

だからこそ私も逃げていちゃいけない。

怖がってばかりじゃダメだ。

視線をお父さんと合わせた。

そうすれば真剣な表情が瞳が私に向けられていたのだと分かった。

ゆっくりと視線を右に動かせば、お母さんと視線がかち合った。

その瞳は軽蔑の眼差しではない。

小さく返事をした。

するとお母さんが話し始めた。

「今まであなたをたくさん傷つけてきたこと、本当にごめんなさい。許してもらえるなんて思ってない 。言い訳にしかならないけど、あなたを嫌いなわけじゃないの。」

私を嫌いじゃない？

だったら何で‥。

予想外の言葉に困惑する。

そんなこととはつゆ知らず、お母さんは話を続けた。

「実はお父さんとお母さん、周りの人に反対されて結婚したの。お父さんには大病院の娘さんとの婚約の話が持ち上がってた。だから特にお父さんのご両親からは猛反対を受けて、それを知った私の両親もやめた方がいいって言い出して。でも結局強引に籍を入れた。」

そこで一度言葉は途切れた。

お母さんの表情は苦痛に歪んでいて。

まるで何かに耐えているようだった。

なかなか話さないお母さんをお父さんが心配そうに見つめる。