どれくらいそうしていたかは分からないが、

ガチャッという音がして、やばいと思った。

だけどキッチンの電気が付いている以上、もう無理だろう。

自室の方を見やれば、悠がキッチンに姿を現した。

キッチンの端に座り込む私を見つけて、目の前にしゃがむ。

「眠れないのか?」

顔を覗き込まれそうになって、身をよじった時、何かにぶつかった音がした。

次の瞬間、悠の手が私の額に触れる。

「熱いな‥。とりあえずベットに戻ろう。こんなとこにいたらますます悪化する。」

膝裏に手を入れられ、持ち上げられる。

そして再びベットに寝かされた。

救急箱を漁って冷えピタが貼られた。

「ごめんな。俺がもう少し早く気づいていれば‥。」

「ううん、謝るのは私の方‥ごめんね‥迷惑ばっかりかけて‥。」

頭を撫でられ、安心したせいかふんわりと微睡むように眠りに落ちた。

私が眠りに落ちる直前、

「あの時俺も一緒に行っていればな‥。一番そばにいたのに、結局何も気づいてやれなかった‥。」

自責の念に駆られていたなんて知りもしなかった。

その一方で心には確かな決意が宿っていたことも。