「1人で寂しかったよな、ごめんな。本当はもう少し早く帰りたかったんだけど、いろいろあって予想よりも長引いちまった。」

「ううん。」

それしか言えなかった。

これ以上言ったら、泣いているのに気づかれてしまう。

強くなりたいとあんなに願っていたのに、何一つ変わっていなくて、弱いままだった。

結局悠がいないと、私はダメなんだと改めて思い知らされる。

大きな腕が私の背中に回った。

「やっぱり少し痩せたな‥。ちゃんと眠れてたか?」

「ちゃんと眠れてたよ。」

半分ホントで、半分は強がりだった。

眠れなくなってしまう自分から早く解放されたかった。

悠がいなくても眠れる自分に戻りたかった。

もう大丈夫だと自分でも思いたかった。

だから体力の限界で死んだように眠れることも、睡眠薬に頼ってしまう日があることも、全部知らないふりをした。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか。

「そっか。」

悠はそれ以上何も言わなかった。