笑顔の裏側に

もう少しでお店が完成というところで、ついに悠が帰ってくる日がやってきた。

1週間前くらいに電話で聞いていたので、その日は店長さんにお願いして休みにしてもらった。

夕方には帰ると午前中に連絡があり、夕食は悠の好きなものにしようと、買い物に行って準備をする。

今日はハンバーグと酢ダコのサラダ。

後はハンバーグを焼くだけまでになった時、玄関からロックが解除される音が聞こえた。

タオルで手を拭きながら、急いで玄関へと向かう。

するとスーツケースを玄関に置き、靴を脱いでいる悠がいた。

行きよりも荷物が少し増えたような気がする。

「おかえり。」

「ただいま。」

勢いよく抱きしめられた。

持ったままの紙袋が背中でかさばっている。

「会いたかった‥。」

「私も‥。」

同じように背中に手を回した。

この日をずっと待ってた。

やっぱりこの部屋は1人では広すぎて。

静かすぎる空間は心細くなった。

悠の腕が緩んだのを感じて、私も背中から手を離す。

そして見つめ合った後、引き寄せられるようにキスをした。