「それで昨日はどうだったの?もしかしてそのバナナクリップは神谷から?」

冷やかすように尋ねてきたのは、舞だ。

それを機に彩花と美憂も私の後ろに回って髪飾りを見る。

「ホントだ、新しいのつけてる!」

「優美はこういうの、あんまりつけてこないもんね。」

一気に騒ぎ立て、私の返事なんて聞いちゃいない。

「そういえば優美、今朝、いつもより遅く来たじゃん?あれはやっぱり昨日の夜‥。」

「違う違う!何もないって!」

「焦って否定すると余計に怪しいよね!?」

それぞれが興味津々に頷いている。

みんな私と悠が半同棲していることを知っているからだろう。

もうやめてほしい。

こんな昼間から刺激の強い話。

しかも食事中にする話じゃないよね?

「本当に何もないって。プレゼントをもらって、作ってくれた料理とケーキを食べただけだよ。」

平然と返す言葉を返すと、

「えーそれだけ?つまんないの。」

美憂はそう言っておにぎりを頬張るけど。

私はその後の夜の優しい口づけを思い出していた。

すると一気に頰が熱くなる。

無意識のうちに自分の唇に触れていた。

「何か優美。顔、赤くない?やっぱり何かあったんじゃないの?」

舞に指摘されてますます赤くなる。

もうこれじゃあ余計怪しまれるのに。

そしてまた3人は私なんてそっちのけで、ひたすらその話で盛り上がっていた。

必死になだめて、誤解を解こうとしながらも、心は温かで穏やかだった。