俺は作戦通りそのまま問い詰めて行く。

でもここで俺は自分の作戦がどれだけ自分勝手で浅はかなものだったかと気づかされたのだった。

あの最後の言葉。

何度も頭の中で繰り返される。


－－－「先生、ひどいです。私のこと、疑ってるんですか？」－－－


そう静かに呟いた麻生の悲しそうな表情が頭から離れない。

俺はいったい何をしているのだろう？

あいつの抱えているものを少しでも知りたかった。

俺に話して欲しかった。

強引に聞き出さないときっと麻生は話してはくれない。

そう思って俺はどんどん問い詰めていった。

それがあいつを傷つけることになるなんて思わずに…。

そして必死に弁解する俺なんて見向きもせずに、あいつはあの笑顔を残して去って行った。

俺はどうすればいい？

また昔のように同じ過ちを繰り返すのか？

俺はあの時誓ったはずだ。

教師になって絶対もう二度と誰かの心の叫びを見過ごしたりはしないと。

だからめげずに頑張ろう。

俺はどんなに嫌われたって構わない。

何としてでもあいつを救って見せる。

だから見ててくれよーーー。

そう空に向かって呟いた。