「たっく、見んなって言っただろ!不意打ちとかマジでタチ悪りぃ。」

最後の方はブツブツと呟いていてなんて言ってるか分からなかったけど、とりあえず照れてることだけはわかった。

悠でも照れるんだなっと思いながら、ギュッと抱きついた。

「眠れない夜は何時でもいいから俺に電話しろよ。こうして泊まれる日は、お前が眠るまでそばにいてやるから。」

さっきの照れは何処へやら。

いつもの調子を取り戻した悠に私も口を開く。

「そしたら、毎晩かけちゃうかもよ?」

「いい心構えだ。まあ、お前からかかって来なくても、俺から毎晩かけてやるから覚悟して待っとけよ。」

ああ、こんなに愛されて大切にされて。

いったい他に何を望むことがあるだろう。

それだけで十分じゃないか。

たった一人の母親から愛されないことが、なぜこんなにも心を蝕んでいくのだろう。

もう終わってしまったことなのに。

いつまでも引きずって、1人じゃ眠れなくなってしまった自分が情けなくて。

そんな胸の内に気づかれないように、私はより一層悠の胸に頭を埋めた。