笑顔の裏側に

家事を一通りできる範囲で済ませると、もう8時前。

悠が眠っているソファーの前に座った。

相変わらず寝顔は幼くなるなと思いながら見つめる。

タオルケットをかけ直すと、そばにあった携帯が落下した。

大きな音がして、悠が顔を顰める。

まずい、起こしたかも。

慌てて携帯を拾い、壊れてないか確認する。

一先ず大丈夫そう。

「優‥美?」

寝ぼけた悠が微睡んだ瞳でこちらを見ていた。

「あ、ごめん。起こしちゃったよね。携帯落としちゃって‥。」

「あ、うん。うん?まあいっか。てかもう8時か。よく寝た。」

会話が通じてない気がしたけど、気にしないことにした。

「今朝ご飯の準備するから。」

そう言って立ち上がる。

悠はしばらくして洗面所に向かって行った。

そして簡単に朝食を済ませた後、家事の続きに取り掛かる。

11時ごろに届けると業者から連絡があったため、それまでに掃除は終わらせておきたい。

そのために黙々と掃除をすると、1時間前には終わった。

後は洗濯だけ。

のんびりと座ってテレビを見ている悠の隣に腰を下ろす。

ゆっくりと流れる時間が心地よい。

私の手に悠の手は重ねられていて。

触れたところからじんわりと伝わる熱が心臓を加速させる。

現在の政治について評論家たちがそれぞれの意見を述べているが、何にも頭に入ってこない。