笑顔の裏側に

「どうした?」

まだ濡れた髪がいつもより色気を際立たせる。

「えっと‥あ、ベット使っていいからね!じゃあ私もお風呂行ってくる。」

逃げるように悠の前を通り過ぎようとすれば、腕を掴まれた。

「何もしねえから安心しろ。お前の気持ちが俺に向くまではキス以上のことはしない。だからお前がベットで寝ろ。俺は床でいいから。」

固まってしまった私の背中を押して

「ほら、早く風呂入ってこい。」

そう急かす。

髪を洗いながら、湯船に浸かりながらさっきのことを思い出す。

何度思い出しても恥ずかしすぎる。

あれじゃ、私が期待していたみたいじゃない。

何度か項垂れた後、逆上せそうになったので、慌てて湯船から上がる。

そして着替えて、そっとリビングを覗けば、ソファーで眠っている悠の姿があった。

連日の引っ越しの手伝いで疲れたんだろう。

常に私に気遣いながら、時には言葉を選んで。

「ありがとう。」

そっと呟いて、タオルケットをかけた。

電気も消して、キッチンの明かりだけにする。

最後の片付け物を済ませて、私もベットに横になった。