最後に食料品売り場に行って、洗剤や少し飲み物を買う。

荷物は全て悠が持ってくれ、私は身軽なまま家に入る。

まずシーツ、枕カバー、タオルなどを洗濯して行く。

そして今日買ってきたもの食器や調理器具を洗っていると、

「優美、これも一緒にお願いしてもいいか?」

斜め後ろを振り返れば、青い茶碗と茶色の茶碗、箸を渡される。

「これ、どうしたの?」

私は買った記憶はない。

お会計の時にもカゴにはなかったはず。

「俺専用の茶碗。さっきこっそり買ったんだ。だめか?」

水道を出しっぱなしなのも忘れて、悠に抱きついた。

「ありがとう。泊まりに来てくれるの待ってる。」

「泊まりじゃなくていっそのこと、一緒に住んじゃうか?」

その言葉に驚いて悠から離れた。

「冗談だよ。」

笑って誤魔化す悠に何も言えず、食器を受け取って洗い始めた。

本当はそうしてほしいなんて言えない。

1人にしないでなんてそんなわがまま言えない。

いきなり後ろから抱き締められて、思わず茶碗を落としそうになる。

「ちょっといきな‥

「今は無理だけど、絶対にいつか一緒に住もうな。その日まで待ってて。それまではたくさん泊まりに来るから。」

「うん、待ってる。」

騒ついた心が一気に穏やかになっていくのを感じる。

背中から伝わる温もりを噛みしめるように、私は黙って洗い物を再開した。