笑顔の裏側に

歩side

何とか麻生を呼び出すことに成功した。

朝礼のときにマスクをつけていたのが気になった。

昼休みに呼び出そうと思ったが、教室にいた女子生徒に聞くと、授業が終わった後、すぐに出て行ったそうだ。

午後に授業があったが、その時には咳一つしない。

どうしてだろう?

なぜか気になって仕方が無い。

マスクをつけるぐらい普通のことのはずなのに。

それにみんなが問題を解いている時、俺はみんなの解答を見回っていた。

もちろん麻生の解答も見た。

その時にちょうど手の甲が目に入ったのだ。

遠くからみればすぐには分からない。

でもよく見ると、確かに痣がある。

昨日の放課後はなかったはずだ。

なのにどうして??

一日でこんなにたくさんの痣ができたのか?

やっぱり何かがある。

あいつは誰にも言えない何かを隠してる。

そう確信した。