そうして迎えた卒業式当日。

いつものようにホームルームを終え、式が始まるまでの間、卒業アルバムに寄せ書きをし合う。

普段グループに属していなかった私でも、何人かに頼まれ、メッセージを書き合う。

もらったメッセージを眺めれば、もうこの人たちとは会うことはないだろうなと思う。

漠然とした終わりを感じ、寂しさとは少し違うような思いが心に浮かんだ。

そして先生が再び教室に戻ってきて、体育館に移動。

まもなく卒業生入場となった。

吹奏楽部の演奏に迎えられて、席に着く。

たくさんの保護者の方が、カメラを手に自分の子を今か今かと構えている。

シャッター音が何度も耳に響く。

それを聞きながら行き場のない虚しさに襲われる。

きっとここに私の両親はいない。

お父さんは出張で海外だから、まず無理だ。

お母さんはきっと今日も病院だろう。

これまでだって学校行事は一度も来てもらった覚えはない。

それが当たり前で慣れているはずなのに、他の温かい家族を見るとどうしても羨ましいという感情が芽生えてしまう。

思わず俯きそうになったけど、周りの音を遮断するように前を向いた。