笑顔の裏側に

体育着を畳んでいるところで、悠から声をかけられ、終わったと伝えた。

再びカーテンが開いて、悠がベットに腰掛ける。

「なあ、いつから体調悪かった?ここ2、3日昼もあんまり食べてないみたいだったし‥。」

私も隣に腰を下ろす。

「体調が悪いわけじゃなくてね。たぶん薬の副作用なの。」

「副作用?」

首を傾げる悠にもう少し言葉を加える。

「ほら、肋骨にヒビが入ってるかもって言ったでしょ?それで痛み止めの代わりに強い頭痛薬を飲んでるんだけど、強いせいか、胃が痛くなったり、気分が悪くなることもあって。今日もそのせいなの。」

だけど薬は飲まずにはいられない。

飲まなければ、呼吸するのだって痛みが伴う。

悠には言ってないけど、折れてる可能性だって十分にあると思う。

でも幸い、肋骨は自然治癒で治る。

「ちゃんと正直に言ってくれてありがとな。」

悠の手がそっと私の腹部に触れた。

「こんなに傷ついてるのにな。」

ポツリと言葉を零した悠を見れば、やり切れないような表情をしていて。

「言ったでしょ?今回は特別だって。」

そう言ってもその表情は崩れない。

悠には今回の発端をある程度話してあった。

何とかしたくて、悠の手に自分の手を重ねた。

「私が悪いの。ほぼ無断外泊のようなものだし。それは流石にやばいでしょ?」

明るい声でふざけたように言えば、

「無理して笑うな。」

そう言われて、顔から表情が消えていくのが分かった。

「ごめん。」

それっきり重たい沈黙が流れた。

広い保健室の一角。

私と悠だけの2人の空間を隔てたカーテンの向こう側ーーー。

まさかそこで先生が私たちの会話の一部始終を聞いていたなんて。

この時の私たちは知る由もなかった。