笑顔の裏側に

履いていたズボンの裾が捲り上げられた。

裾の幅が広い、ダボッとしたものだったので、簡単に太ももまで上がってしまった。

隠していた痣だらけの足が露わになってしまった。

「もうちょっと早く来ていればな。こんなに痛い思いさせずに済んだのに。」

その言葉に勢いよく飛び起きた。

腹部に鋭い痛みが走って、顔を歪めるけど今はそれどころじゃない。

「悠は‥悠は全部‥その‥気づいてたの?」

声が情けないほど震えた。

「ああ。沙織さんだろ?」

それはお母さんの下の名前だった。

その名前を聞いて愕然とする。

「いつから?」

「こんなこと言いたくないけど、俺とお前の第1志望の合格発表の日。中学受験の。」

そんな前から知ってたんだ。

その日から今日までを振り返れば、何となく分かった気がした。

悠は絶対に私の傷や痣については一切聞いてこない。

たまに聞かれても、適当にはぐらかせば、それ以上は突っ込まれなかった。

絶対嘘だって気づいていたはずなのに。

「あの日、俺とお前の番号はなかった。だからお互いに傷を慰め合おうと思って、一緒に吹っ切ろうと思ってお前の家に行ったんだ。」

何も言わない私に悠は話を続ける。

「インターフォンを押したけど、誰も出てこなかった。でも中からは音が聞こえて。ドアを引いたら開いたんだ。そしたら中から凄い音が聞こえてきて。怖くなって俺はあの時、逃げるようにドアを閉めた。そしたら次の日‥」

苦しそうに顔を歪めている悠を思わず抱きしめていた。

傷だらけの私が玄関から出てきたんでしょう?

確か眼帯をしていて、見苦しい姿だったはずだ。

あの時が一番と言っていいほど、ひどかったはずだから。

悠は悠なりに責任を感じていたんだろう。