笑顔の裏側に

ふとそういえば携帯はどうしたっけと思う。

ちゃんと家に着いたことを先生に連絡しないとまた心配させてしまう。

帰ってからかなり時間が経ってしまったけど、掛けた方がいいだろう。

パーカーのポケットを上から触ってみても何もない。

きっと突き飛ばされたりした時に落ちたのかもしれない。

ということは1階か‥。

降りるのが億劫だけど、仕方ない。

まあ、1階に行けば、片付けをする気にもなるだろう。

そう思って、ゆっくりと階段を降りた。

リビングを見ても何もない。

玄関に行けば、下駄箱の上に置いてあった。

普通ポケットから落ちるなら、床に落ちるはず。

ポケットより上の位置である下駄箱の上なんかにうまく乗るなんてことはないだろう。

お母さんが拾ってくれたのかな?

そんな都合の良いことを考える。

そんなわけないか‥と思いつつも、まだどこか期待している自分がいた。

携帯を開けば、着信が数件並んでいた。

全て先生からだ。

急いで電話をかけると、ワンコールで先生が出た。

「優美?家に着いたか!?」

どれだけの時間を不安にさせてしまったのだろう。

自分のことに精一杯で先生のことに気を配ってあげられなかった。

今更ながらに後悔が襲う。

こんなことなら、家に入る前に電話しておけばよかった。