笑顔の裏側に

「今までどこに行ってたの。」

いつもより数段低い声が怒りを表しているには明白だった。

「友達の家に看びょ

玄関に飾ってあった花瓶が床に叩きつけられ、耳をつんざくような音が響き渡った。

私の声はきっとその音にかき消された。

「友達の家!?あんたは受験生としての自覚ある?そんなんだからダメなんだよ!」

そのまま腕を引っ張られ、引きずられるようにしてリビングに連れて行かれる。

そして床に投げ飛ばされた。

「まさかここまで自覚が足りないとはね‥。」

無理やり胸ぐらを掴まれる。

「受験生が友達の家に泊まるなんてあり得ない!どうせその友達もあんたみたいに低脳なんでしょうね!そりゃあんな学校、ろくでこないもないやつしかいないでしょう?」

強く掴まれすぎて息が苦しい。

喘ぐ声が漏れ始めるとあっさり離されて、床に頭をぶつけた。

その痛みよりも必死に酸素を求めて呼吸を繰り返す。

「あんたはまた失敗を繰り返すつもり?そんなんだから中学受験も失敗するのよ!」

横たわりながらも視界に入るのは、手当たり次第に物に当たるお母さんの姿。

力を振り絞って起き上がると、お母さんと目が合う。

その瞳は血走り、怒りに満ちていた。

また私の方にも戻ってきて、ひたすら殴られる。

「なんであんたは私を失望させてばかりなの!ほんと出来損ない!あんたの全てが麻生の家に相応しくないんだよ!」

何度か鳩尾に入って咳き込むけど気にせず殴られ続ける。

「何でこんなのが私の子供なのよ!本当、あんたの顔を見ると虫唾が走る!」

私の痛みの感覚が麻痺したのが先か、お母さんの体力が力尽きたのが先か。

どちらかは分からない。