笑顔の裏側に

先生は送ると言ってくれたけど、丁重にお断りした。

これからの闘いに備えて私なりに戦略を立てなければならない。

絶対に先生の家にいたなんて勘付かれてはいけない。

そのためには綿密な設定を考えておくこと。

それが一番の得策だと思う。

だからこそ、一人になってじっくり考えたかった。

そうして玄関で先生と別れて、私は1人帰路につく。

とりあえず名目は友達の看病ということに決めた。

そこから突っ込まれるであろうことを予想して、さらに派生させて考えていく。

その後は矛盾が生じてないか十分に確認した。

大きく深呼吸をして、鍵穴に鍵をさす。

そして一思いに鍵を回した。

ドアを開けて中に入れば、そこには玄関で仁王立ちをしたお母さんが待ち構えていて。

ドアが閉まる音と引き換えに、盛大な平手打ちが飛んできた。

持っていた荷物は鈍い音を立てて落下し、私はドアに叩きつけられる。

ああ、始まると思った。

今までの幸せの時間と相反する地獄の時間が。

覚悟を決めて、身体を起こした。