笑顔の裏側に

午後はソファーでのんびりしながら、どちらからともなく、身体を抱き寄せた。

隣に置いてあったリモコンが落ちて、電池が飛び出したけど、そんなのは気にしない。

ただお互いに何を言うわけでもなく、そばにいられることが、こうして抱き合えることがどれだけ幸せなことなのかと噛み締めていた。

この一件で、私と先生の関係がいかに儚いものなのかを痛感した気がした。

本来ならば許されない関係。

誰かに知られてしまえば、力ずくで離されてしまう。

それが分かっているから、今までひっそりと大切に関係を育んできたはずだった。

だけど、本当の意味では分かっていなかったのかもしれない。

今日ひどく動揺したことで、そのことが浮き彫りになったように感じる。

次にまた同じようなことが起こるかもしれない不安と、次はもう逃れられないかもしれないという恐怖に押し潰されそうになる。

それでも先生と離れることだけはしたくなかった。

「俺たち、何があっても絶対に離れないよな?」

「はい。私たちは何があっても絶対に離れない。」

お互いの気持ちを確かめ合い、誓うように触れるだけのキスをする。

好きな人と想い合うことができて幸せなはずなのに、どこかやり場のない気持ちが心の奥で燻っていて、何故だか泣きたくなった。