「俺明日、優美とこのことちゃんと話そうと思う。」

ポツリとそう呟けば、

「何言ってるの!ダメに決まってるでしょ!」

猛反対を受けた。

「どうしてだよ。こんなこと聞かされて知らないふりなんてできねえよ。」

「あんたも知っておくべきだと思って私はあんたに話した。でもね、優美ちゃんはあんたの負担になりたくないから言わなかったのよ。多分ね、あんたが今の状態じゃなくても優美ちゃんは黙ってたと思う。あの子はそういう子でしょ?」

そう言われて静かに頷いた。

あいつはすぐに1人で抱え込もうとする。

自分から助けを求めることを躊躇う。

むしろそれが迷惑をかけることだと思ってる。

だから俺が気づいた時には、手を差し伸べてやりたいのに。

「だからあんたはその気持ちを汲んで、今回は何も知らないふりをしてあげなさい。優美ちゃんから何か言ってきたら、ちゃんと聞いてあげて。それから今後の行動に十分気をつけなさい。」

「分かった。」

そこまで言われたら、もう頷く他なかった。

「よし、その時のために、写真でも取っておく?姉弟ってバレないように、上手く彼氏彼女になりきらないとね。年上の美人彼女として写らないと。あ!あんたの学校に今度迎えに行ってあげようか?それで私の顔でも売っておく?」

さっきまでの真面目な雰囲気は嘘のように、戯ける。

むしろ楽しそうにはしゃいでふざけているようにも見えるが。

でもそれが愛ねえなりの心配の仕方で優しさだと分かってるから。

「まあでも、少しでも何かあったらすぐに連絡してきなさいよ。」

足と腕を組み、女王様のように佇む愛ねえに、苦笑しながらも俺は感謝の言葉を口にするのだった。