「優美は?愛ねえを呼んだのはあいつだろ?」

耐えられず俺から切り出した。

「リビングで待たせてる。」

「そうか。」

「何かあったんでしょ?」

その問いかけに答えることはできなかった。

「優美ちゃん、随分泣いたみたいだったけど‥喧嘩でもしたの?」

「まあ、そんなとこ。」

言葉を濁すと、愛ねえが腕を組んでこちらにやってくる。

鋭く睨み、目が早く言えと言っていた。

「分かったよ。」

観念したようにそう言えば、ベットの縁に腰をかけ、話を促すようにこちらを見る。

そうして掻い摘んで事情を説明した。

昨日学校を休んだら、優美が家に来たこと。

そしてずっと看病してくれたこと。

今朝、学校に行こうとしたら止められて、言い合いになったこと。

その後も優美が俺のために学校を休んだことで喧嘩に発展したこと。

全て話した。

「ふーん、そういうこと。まあ、学校を休むことをいいことだとは思わないけどさ、あんたは何に
も分かってないのね。」

「は?」

何にも分かってないってどういうことだよ。

「俺だって感謝はしてるぜ。」

訳が分からずそう言えば、大げさに溜息を吐かれた。

「そういうことじゃないのよ。まあいいや、ちょっと優美ちゃんの様子を見てくるから、あんたはここで大人しくしててね。」

有無を言わせずに寝室を出て行ってしまう。

ドアが閉まる音がやけに室内に響いた気がした。

点滴が1滴ずつ落ちていくのを見ながら、先ほど言われたことを考える。

でもいくら考えても全然分からなくて、点滴をしていない方の手で、頭をガシガシかいた。

何だよ。何が言いたいんだよ。

いつもより働かない頭のせいで、ますます思考がこんがらがってくる。

腕で顔を覆った。