「ここ数年、落ち着いてきてたから、私も油断してた。ごめん。」

愛ねえは俯いて自分の手をギュッと握りしめていた。

「愛ねえのせいじゃねーよ。こうして来てくれただけでもすげー助かってる。」

そう言って笑えば、ますます心配された。

「風邪だとは思うけど、インフルの検査も一応するから。」

最悪だ。

あのめちゃくちゃ苦しいやつをやるのかよ。

抵抗を見せたが、

「ちゃんと言わないあんたが悪い。」

と一蹴され、呆気なく降参することとなった。

「インフルかどうかで薬が変わるから、栄養剤の点滴だけ入れておくわね。」

そして点滴を入れている間、しばしの沈黙が流れた。

お互いに切り出そうか迷っている空気感が伝わる。