笑顔の裏側に

そうして夜10時を回った頃、先生が目を覚ました。

「先生、目が覚めましたか?」

顔を覗き込むようにすれば、

「優美?」

何で私がここにいるんだという顔をしていた。

しかししばらくして思い出したのか、いきなり飛び起きる。

だけどすぐにベットに引き寄せられるように戻ってしまった。

「急に動いたらダメですよ。」

「うん。」

クラクラするのか、片腕を顔の上に載せていた。

その間に、首に手を当てて、熱を見る。

さっきよりは下がったかなと思ったが、まだまだ熱はありそうだった。

「先生、起き上がれますか?」

声をかければゆっくりと起き上がろうとするので、慌てて上半身を支えた。

「ごめんな‥」

「謝らないでください。私が体調悪い時、先生が看病してくれたじゃないですか。だから先生が体調悪い時は私が看病します。」

「ありがとう。」

そう言って笑った顔は痛々しかった。

でも今はそれには触れない。

全ては体が回復してから。

「着替えた方がいいですよね?」

「ああ。」

先生に断って、タンスやクローゼットを開けさせてもらい、着替えを出した。

「じゃあ、着替えてくださいね。私は一度リビングに行って水を変えてきます。」

洗面器を掲げて笑う。

「開けるときはノックしますので、着替えが終わったら教えてください。」

そう言って、キッチンに戻る。

さっき使ったタオルをすすいで、寝室のドアの前で呼びかける。

「先生、ドアの前にタオル置いておきましたから、使ってくださいね。」

リビングに戻るとすぐにドアの開閉音が聞こえた。