笑顔の裏側に

そのまま駅まで急ぎ足で歩き、先生の家の最寄り駅まで、電車に乗った。

駅のコンビニでポカリとゼリーなど食べられそうなものを買う。

記憶を辿ってうろ覚えながらも、何とかマンションの前に来た。

マンションの中に入り、サングラスとキャップを外して、一応インターフォンを押した。

「はい。え‥」

そんな掠れた声が聞こえた。

「突然すみません。来ちゃいました。」

「なんで、そんな‥」

焦っているようだったけど、御構い無しに続けた。

「部屋にいてください。勝手にドア開けますね。」

そう言って、以前先生に教えてもらった暗唱キーを入力した。

そのままマンションの敷地内に入り、先生の部屋に前でも同様にしてロックを解除した。

「お邪魔し‥ちょっと!先生、大丈夫ですか?」

急いで靴を脱いで、先生に駆け寄る。

先生は玄関の前で壁にぐったりともたれていた。

「優美、優美‥」

朦朧とした意識の中で、私の名前を呼ぶ。

「私はここにいますから。とりあえずベッドに行きましょう。」

何とか先生を立たせて、寝室に向かう。

私一人で先生の体重を支えるのは大変で、ベットに一緒に倒れこむような形になってしまった。

そのまま先生の態勢を整え、布団を掛ける。

「優美‥」

とろんとした瞳が私に向けられた。

そのまま先生の額に手を当てる。

やはり熱がある。

それも高熱だ。

とりあえず何か飲ませないと。

そう思い、荷物を取りに行こうとする。

しかし先生の手がそれを阻んだ。