笑顔の裏側に

「お前は十分、誰かに愛されるだけのことはあるよ。愛されない人間なんていない。お前が自然と誰かを愛すように、誰かが必ずお前を愛してくれる。俺もそのうちの1人だ。」

その言葉にもう一度涙が溢れる。

愛される価値がないと思うことは私を愛してくれる人の存在を否定することになるよね。

私は愛されないことを当たり前に思うのではなく、愛してくれる人を大切にしたい。

「先生…。私も…愛してる。」

涙ながらにそう言えば、優しく髪を撫でてくれる。

落ち着けば、その様子を見計らったように先生は私を離す。

そのまま私たちは見つめ合い、どちらからともなく引かれ合ったようにキスをした。

私も先生に支えられて立ち上がり、角度を変えて何度も。

離れた時には呼吸も乱れていて。

苦しかったけど、幸せな時だった。

「これでもう元どおりだよな?」

「はい。これからもよろしくお願いします。」

お互いに微笑み合う。

よかった。

もう一度先生に触れることができて。

これからもずっとそばにいられる。

そう思うとそれだけで安心できた。

ソファーに移れば、今まで離れていた時間を埋めるように私たちは寄り添い合う。

目が合えば、微笑み合い、優しいキスを落とす。

しばらくすると先生が立ち上がった。

「本当は帰りたくないけど、もうそろそろ帰るよ。お前も疲れたよな。ゆっくり休めよ。」

そう言ってリビングを出て行こうとする先生の袖を少し掴んだ。