笑顔の裏側に

しかしそう決心した矢先、俺は優美の言葉の真相を身をもって知ることになったのだ。

いつも通り木下の質問を受ける。

今回は少なくいつもより早く終わった。

「大丈夫か?無理してないか?」

木下が片付けてる時に声を掛ける。

「はい。ありがとうございます。」

笑顔で答える木下を見て大丈夫そうだと改めて確信する。

「でも…。先生がそばにいてくれたら、もっと心強いです。」

その言葉に少々違和感を覚えながらも、答える。

「俺は木下を応援してるよ。」

そう言えば、片付けが終わった木下が俺の目の前に立って目を合わせてくる。

「それは私と同じ気持ちだと受け取っていいんですか?」

何を言っている?

ここで初めて優美の言葉の真意に気づく。

そんな俺を御構い無しに木下は続ける。

「好きです。先生のことが好きなんです。だから先生にそばにいてほしいんです。先生のそばにいたいんです。私じゃ…ダメですか?」

そう言って木下が俺に抱きついてくる。

俺はただその言葉を聞き流す。

その言葉は優美からほしい。

優美からしかいらない。