笑顔の裏側に

その選択が間違っていたのかもしれない。

そのまま英語科準備室に行っていれば。

あの場面に遭遇することはなかった。

木下さんと先生が抱き合っている姿ーーー。

思わず教材をバタバタと落とす。

まるでその音は私の心が壊れていく音のようだった。

慌てて拾い上げ、その場を逃げるように去る。

そのまま屋上に向かった。

屋上のドアを勢いよく開け、その場に泣き崩れる。

どうして?という思いが私を支配する。

もう私のこと嫌いになった?

面倒くさいって思った?

嫌な想像しか浮かばない。

一頻り泣いてぼんやりと空を眺める。

雲がたくさんかかっていて真っ暗だった。

もうやめよう。

やっぱり無理だったんだ。

愛されない私が誰かに愛されるなんて。

誰かを愛すなんて。

最終下校のチャイムが鳴る。

もうさすがに帰っただろう。

そう考え、立ち上がり、教室に戻る。