笑顔の裏側に

優美side

あの日から1週間ほど経った。

今でもなお先生に傷ついた表情が頭から離れない。

嫌われたかな?

そう思うと先生に合わせる顔がなかった。

だから個別指導にも行かなかった。

先生のカゴにこっそりノートを忍ばせて。

そのノートにはメモが挟んである。

それが今の私にできることだった。

話をすれば、必然的に出てくる腕のことや先生の手を振り払った理由。

次バレれば、お母さんは本当に何するかわからない。

先生をやめさせることぐらい簡単にできてしまう。

家庭の事情に先生を巻き込むわけにはいかない。

だけど当然行かなければ、呼び出されることは間違いなしで。

ただ日を伸ばすだけにすぎない。

やはり個別指導の次の日、呼び出されることとなったのだ。

17:00ならきっと間に合うだろう。

国語の川谷先生に過去問の記述を添削してもらい、説明を受けた上で何度かの書き直しを繰り返していた。

今回は書き直しだけだから、30分もあれば終わる。

いつまでも先生から逃げているわけにはいかない。

ちゃんと話さなければならない。

そのことは頭のどこかで分かっていた。

だから今日がその日なのだと、先生からの呼び出しに応じようと決めたのだ。

川谷先生の指導は無事16:45頃に終わり、一度教材を置こうと教室に向かった。