そうしてもう一度要と向き合って手を合わせる。

要。今日はな、報告だけじゃなくてお願いがあって来たんだ。

麻生のことも見守っていて欲しい。

麻生とはまだ心が通じ合ってから日も浅い。

それに麻生は絶対に俺の前で弱さを見せようとしないんだ。

大丈夫。

そう言って平気なふりして強がって。

いつだって辛いのを隠して一人で泣いてる。

俺が気づいてあげられればいいんだけど、ずっと見ていられるわけじゃないからすごく心配なんだ。

また一人で泣いてるんじゃないかって。

心が壊れてしまうんじゃないかって。

だから頼むよ、要。

麻生にはもうこれ以上悲しい思いや辛い思いさせたくないんだ。

もう十分傷ついてきた。

次は幸せになる番だろ?

俺のことは後回しでもいい。

だから麻生のこともよろしくな。

話を聞いてくれてありがとう。

俺はもう行くな?

今度来るときは麻生と一緒に来れたら、いいな。

じゃあ、またな。

そうして俺は立ち上がり、要と別れて家に帰った。