だけど担任としてその子を見ていくうちにすごく努力してるんだなってわかった。

両親からの重圧に耐えていつも頑張ってて。

でも泣き言一つ言わないんだ。

涙を隠して弱さを一切見せない。

でも本当は苦しんでた。

ちゃんとSOSを出してた。

あの笑顔、瞳はあの時のお前と同じだった。

だから俺は必死に救おうとした。

お前にはしてやれなかったこと、今度は全部やろうっと思って。

何度も間違えて遠回りした。

たくさん麻生のこと傷つけた。

だけどちゃんと最後には俺の前で泣いてくれたんだ。

本当にホッとした。

心が壊れる前でよかった。

要、そんな俺を今でも見守ってくれているか?

もしそうなら、もう知ってるかな?

俺な、教師のくせに生徒を好きになったんだ。

それで昨日からちゃんとお互いの気持ちを伝え合って付き合うことになった。

その子の名前は麻生優美。

驚いた?

それとも教師が何やってるんだって呆れてる?

でも要ならきっと今頃空の上で喜んでくれるよな?

あの優しそうな笑顔を…

俺の大好きだった心からの笑顔を…

浮かべて聞いてくれているよな?

ずっと心の中で会話を続けていると、俺の周りに優しく包み込むような風が吹く。


要がおめでとうって言ってくれる気がした。

思わず目を開け、立ち上がって空を見上げた。

「ありがとな、要…。」

静かにそう呟いた。