笑顔の裏側に

部屋に戻ると机にあった携帯が光っていた。

見ると先生からのメールや電話がきていた。

それだけでまた涙が溢れる。

涙を抑えて机に置いてある水を飲み、心を落ち着ける。

先生に電話をかけ直そうとした時、携帯が震え出した。

表示には“瀬立歩”という文字。

先生と分かっただけですごく安心した。

「はい。」

「あ、麻生?俺だけど、今大丈夫か?」

ずっと聞きたかった先生の声。

抑えきれなくなった涙が頬を次々とつたる。

「大丈夫です。何度も連絡くださったのに出られなくてすみませんでした。」

「いや、いいんだ。その…大丈夫かなっと思って…。」

「何がですか?」

嗚咽や息使いが聞こえないように必死に押し殺す。

平常心でできるだけ明るく。

「俺が余計なこと言っちゃったからさ。お母さん、すごく怒ってたし。帰ったら話すって言ってたから…。」

先生の優しさに胸がいっぱいになる。

そこまで気にかけてくれたんだ。

涙を抑えることに必死で声が出せない。

「大丈夫か?」

先生には聞こえないように大きく息を吸って言った。