「どうしてあんたは!私の顔に泥を塗るようなことばかりするの!?そんなに私に恥をかかせたいわけ!?」

「違…。」

そうして花瓶が投げつけられ、砕け散る。

間一髪避けられたがそれがお母さんの怒りを余計に買ったようだ。

「あの先生のこと、訴えてもいいのよ。」

挑発するように立ち尽くす私に言い放つ。

「それだけは…」

「何?聞こえない。」

どうしよう。

私のせいで先生が…。

「ごめんなさい。もっとちゃんとするから。先生にはうまく言って口止めしとくから。だからそれだけはやめて。」

必死に言うが、お母さんはその言葉を待っていたかのように嘲笑う。

「ずいぶんと先生を庇うのね。私には散々恥かかせといて、それで言わないでくれ?ふざけんじゃない!」

そうしてまた拳が振り下ろされる。

私はそのまま花瓶の破片の中に倒れた。

痛みをこらえる私をよそにそばにあった椅子を掴んだ。

まずい。

このままだとまた椅子が振り下ろされる。

少しずつ後ずさりをするが、お母さんはどんどん迫ってくる。

それに連れて私の体も破片に近づいていく。

指にズキリとした痛みを感じ、見ると破片で切れていた。

その隙に椅子が振り下ろされる。

視線が指先にいき、体勢が変だったせいか、肩に直撃する。

かなり痛い。

骨にちょうど当たったようだ。

肩は初めてだった。

いつだって腕で守ってきたし、傷つくのは頬や脚だった。

思わず肩を抑え、痛みをこらえる私に満足したのか、

「しっかり口止めしときなさいよ。」

そう吐き捨ててリビングを出て行った。