俺の返答に、白城は笑いながら手を振って帰って行った。
何で俺から誘うんだよ。
正々堂々俺に来ると言った吉野先生は、確かに正々堂々来た。
回りくどいことはせずに、多分俺だけに分かるように、好意をたまに見せる。
俺が反応なんて示さなくても、それでもめげずに。あれからずっと俺のことを好きでいてくれてるらしい。
何も思わないのか、なんて聞かれれば、そういうわけじゃないと答えれる。
全く何も思わないわけじゃない。
「中村先生っ」
「うわ…っ」
ボーッとしながら煙草を吸っていると、後ろから来た誰かに肩を叩かれて。
ボーッとしてたからなのか、足音も気配も感じなくて、驚いて振り返った。
「そんなに驚かないでくださいよ」
「…あー、いや、すいません」
苦笑いの吉野先生が、ペットボトルを2本持ってそこに立っていた。



