部屋について渡されたカードキーでドアを開けると、思っていたよりも広くて綺麗な所だった。
あんな安っぽいホテルが並んでた場所とは思えない、ちゃんとしたホテル。
ただ、状況が状況だ。
俺にピタッとくっついてた茉央ちゃんはベッドを見つけるとそこに倒れこんだ。
「んー……」
…こんな日に限って、スカートだし?
夏前の少し蒸し暑い時期だから、薄着で。無防備なんてもんじゃない。
「蓮くん…、好き…」
「…ん、俺も」
お酒のせいなのか眠たいせいなのか分からないけど、茉央ちゃんの目には涙の膜が張ってて、キラキラしてた。
すごく、甘ったるい。
声も、顔も、仕草も。
年下の女の子なんて言えないくらい、色っぽい。多分、あの居酒屋にいたときからずっと。
「…何?」
今にも眠ってしまいそうなのに、俺をジーっと見つめて目をそらさない。



