しばらく歩いてると、背中におぶってる茉央ちゃんが何か言ってるのが微かにだけど聞こえた。
「……蓮くん、そ…」
「何?」
「…も…あ、く」
だけど何て言ってるのか全然分からなくて、何度も聞き返した。
「…ある、く…」
あぁ、歩くって言ってるんだ。
「歩ける?」
「…ん…」
半分寝てるみたいなのに、ほんとに歩けるのかな。なんて思いながらも下ろすと、覚束なかったけど歩き出した。
「茉央ちゃん?」
「…手、つな…」
すごく眠そうだけど、俺に手を差し出してふにゃふにゃ笑ってる姿を見ると、連れ出してよかったと思った。
だってすげー可愛い。
俺以外の人に見せたくない。
「んふふ…好き…」
酔ってるだけなのに、こうも素直で。



