黒いエナメルの、パンプス。
ヒールが高くなくて履きやすいんだって言ってたものによく似ていた。
よく見れば、ストラップの部分についてるストーンまで茉央ちゃんの物と同じ。
だけどそれだけで判断出来るわけなくて、とりあえず行ってみようと近づいたその部屋から聞こえた。
「ちょっと茉央大丈夫ー?」
あぁ、ここか。
それで確信して、もうそのあとは迷いなくその部屋のドアを開けた。
結構勢いよく開けたから、中にいた数人の男女は驚いて俺を見てて。見渡す間も無く寝転んでる茉央ちゃんを見つけた。
…寝転んでる茉央ちゃんの隣に座って、彼女の髪を触ってる男の姿も。
「えっ!蓮くん!?」
どうやらそこにいた女の子達は茉央ちゃんの高校の時の友達で、俺のことも知ってるらしい。
だけど、今はそんなことどうでもいい。
「ごめん、触んないで」
この子に触んな。



