んなの、嫌に決まってんじゃん。
『ここー?ここはねー…どこだっけ…』
店の名前が分からなかったのか、そう呟いた茉央ちゃんに、多分近くにいる男が店の名前を言う。
それが聞こえてすぐに電話を切った。
一方的に。
「…すいません、俺行ってきます」
「あー、はい。頑張って」
苦笑いで中村先生は手を振った。
友達とご飯を食べに行くって言ってたから、もしかしたらさっきのも男友達なのかもしれない。
だけど、いくら相手が男友達とはいえ、あそこまで酔っ払ってそのままその場にいるのは無防備だよ。
分かんないかな。
茉央ちゃん、自分が思ってるより男の目を惹くんだって。
何とも思ってない女友達でもさ、男って結構簡単に一線越えちゃったりするんだよ。それが飲みの場なら余計に。
だからさ、もう少し気をつけてよ。
今日は、俺が迎えに行くから。



