『んふふ、蓮くーん』

俺の知らない茉央ちゃんだ。

「酔ってるね」

『えー?』

「茉央ちゃん、今どこ…」

今どこ、迎えに行く。

なんて言葉を続けることなく途切れさせたのは、電話の向こうから茉央ちゃんじゃない人物の声が聞こえてきたから。

誰と電話してんの?

って、男の声。


「…茉央ちゃん、どこにいんの?」

誰といんの?

ピタリと止まった俺を中村先生は不思議そうに見てて、表情を見て何となく察したらしい。

「男といるみたいですね」

ため息をついてそう言った。

「何やってんだ、あいつ」

ほんと、何やってんの茉央ちゃん。

そんな酔っ払って、その場にいるのは女友達だけじゃないんでしょ。