「あれ…」

文化祭間近で忙しくなったこの時期は、いつも帰りが遅くて茉央ちゃんに会う機会も減っていた。

それでも明日は2人とも休みが一緒だったから、久しぶりにデートの予定で。


「何かありました?」

「あーいや、茉央ちゃん今日ご飯食べに行くって言ってたんで、帰りの時間教えてって連絡したんですけど返ってきてないんですよね」

俺も遅くなるのは分かってたから、時間が合えば迎えに行こうかなって思ってたけど返事はなかった。

「珍しいっすね」

「ですよね」

たまたま帰りに会った中村先生と並んで携帯を見るけど、やっぱり茉央ちゃんからの連絡はない。


「誰と会ってるんですか?」

そういえば誰とご飯を食べに行くか聞かなかった。多分高橋さんじゃないかなって思ってたから。

「高橋さんですかね」

「え、知らないんですか?」