「…違うの、忘れてたの」

気がついたからって今さら離れることは出来ない。だって、くっついてれば見えないんだから。

「そういえば、何であたし服着てないの?全然覚えてないんだけど」

「そっか、お酒飲んでから何も覚えてないんだもんね」

蓮くんの髪の毛から落ちる水が肩を滑って背中に流れていく。

他人と一緒にいてこの格好なら大問題だけど、相手が蓮くんとなれば全然違う。


「茉央ちゃん自分で脱いだんだよ、暑くて寝れないって言って」

「え…」

「やっぱ覚えてないか」

「あ…全く、覚えてない…」

覚えてない分、自分がどんな風にこうなったのか分からないから、余計に恥ずかしくなった。

「脱いですぐ寝ちゃったし、何の拷問かと思ったよ、ほんと」

きっといつもみたいにふにゃんと笑ってるくせに、言ってることはちゃんと大人だから困る。

よく見れば、ベッドの下に昨日着てた服が散らばってるのが見えた。