ガチャッと勢いよく玄関のドアが開いて

「えっ!待って待って待って!!!」

携帯の画面を見たまま、息を切らして慌ただしく入ってきた白城くん。

そのままあたしのところまですごい勢いで向かってきて、頭を下げた。


「ごめん!!」

「え…あの…」

「ほんとごめん!今日は絶対早く帰らなきゃって思ったら何か変なミスばっかしちゃって!」

「あ…そうなんだ…」

「あっぶねー!セーフ!」

慌ただしいままの白城くんに戸惑っているのはあたし。何が何だかって感じだけど、とりあえず間に合ったようだ。

息も切れてるし、冬なのに額には汗。


変な状況だよね。

あたしも鞄持ってるし、何ならコートも着てて帰る気満々だし。

玄関のドアなんて今閉まる音がしたよ。

白城くんドア開きっぱなしでここまで駆け寄ってきたから。

…でも、帰ってきた。


「あっちー」

「汗かいてるし」

「冬なのにな!」

そうやって笑うから、何だかおかしくなってあたしまで笑ってしまう。