「あ、でも子供が出来てもプロポーズしたときのわがままは継続ね」

「わがまま?」

「そ、わがまま」

休みの日はデートしたり。

喧嘩しても寝る時は一緒、とか。

あのときも思ったけど、決して蓮くんのわがままなんかじゃない約束。


「んふふ、だからわがままなんかじゃないのに。あたしだって、子供が出来てもそのつもりだったよ?」

もちろん、お腹の中にいるこの子を優先することが増えるけどね。

だけどあたしにとって蓮くんは今までもこれからも、ずっとずっと、心から愛おしいと思ったたった1人の男の人だよ。

我が子を思うのとは少し違った、特別な感情があるんだよ。


「なんかほんと、ハタから見たらすげーバカップルなんだろうな、俺ら」

なんて言って蓮くんは苦笑いで。

「そんなの、きっと今に始まったことじゃないから大丈夫だよ」

結婚したら変わることもあるのかな、なんて思っていたけど、気持ちはむしろ大きくなるばかりだった。

幸せなんだ、今。

それを毎日実感する。

「幸せだねぇ」

「んふふ、茉央ちゃんすごいおばあちゃんみたいなんだけど」